HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、以前は「子宮頸がんワクチン」と呼ばれていましたが、子宮頸がんだけでなく、尖圭コンジローマなどの疾患も予防することが明らかになり、現在はHPVワクチンと呼ばれています。2013年から定期接種化され、現在も小学校6年生から高校1年性までの女子が無料で接種することができます。ただ、接種後に多様な症状が出た症例が続いたため、積極的な接種の勧奨が現在も中止されています。しかし、最近の研究では、このワクチン接種と多様な症状には因果関係がない事が証明されてきており、諸外国では普通に接種されています。
子宮頸がんは日本で年間1万人が罹患し、約2800人が命を落としています。特に、20台から40台の若い女性に多く、「マザーキラー」と呼ばれています。HPVワクチンを接種することにより、子宮頸がんの罹患を約90%減少させることができると考えられており、積極的な接種の再開が望まれています。私は、自分の二人の娘を含めて約50名の方に接種しましたが、特に具合の悪くなった方はいませんでした。
小学校6年生から高校1年生の女子の方は、このHPVワクチン接種を無料で受けることができます。中学1年と高校1年の方には、春頃に酒田市から案内が届いていると思います。接種は3回受ける必要があり、2回目は初回接種の2か月後、3回目は初回接種の6か月後と決まっています。高校1年生の場合には、接種スケジュールの関係上、9月末までに第1回接種を行わないと3回の接種が完了できません。ですので、希望される方は早めに御連絡下さい。きちんと説明をして、納得していただける場合には接種いたします。なお、現在接種進行中の新型コロナワクチンとは、2週間以上の間隔を空けることが必要です。
現在、厚生労働省に対して、積極的な接種の勧奨を再開するよう要望が出されていますが、実現には至っていません。どうも現在の田村厚生労働大臣は、りワクチン全般に対してあまり積極的ではないようです。(田村大臣は、2013年に積極的接種の勧奨を中止した際の担当大臣でもあります)安全性、有効性に関するエビデンスは既に十分に確立されています。WHOは積極的接種勧奨を再開しない日本の姿勢を、名指しで批判しています。いつになるかわからない積極的接種勧奨の再開をいたずらに待つ事なく、HPVワクチンを早期に接種することを、強くお勧めします。(イラストは「みんパピ! みんなで知ろうHPV」のサイト用に、漫画「コウノドリ」作者の鈴ノ木ユウ氏が寄せた応援イラストです。)
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